めちゃくちゃオススメしたい本

誰に対して(笑)と突っ込みたくなるタイトルです。

いつも話題に出しております汐見稔幸先生です。

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たぶんこのブログを読んでくださっている方にはヒットする内容だと思って、

紹介しようと思います。初版は7年前の本なので、もうすでに読んでいたらすみません。

 

小学生の自主性や主体性が乏しくなった危機感が80年代に出てきてから、「幼児教育でもっと遊びを大切に!指導をせずに援助を!」という真面目な議論から「放任」保育に陥る園も出てきた…。

 

という話、まさに最近体感したのです。

幼稚園見学をあちこちしているのですが、「個性が大切にされている、いいな」と思えた幼稚園だったのだが…、ガシャーン!とおもちゃ棚を倒しても、誰にも何も言ってもらえない乱暴な男の子…。

シュタイナー教育は「自由に生きるため」の教育ではあるけれども「自由放任にすること」とは大きく違うので、それを見て「やっぱりここも違うなぁ」とがっくりとしてしまったのです。

どのような範囲で自分のやりたいことができて、自分の中から湧き上がる興味を発揮していくことができるのか、ちゃんと知ることが大切であって、それは大人がよく観察してやって手を差し伸べてやらなくては、とても主体性が育つとは言えないと改めて実感します。

 

他にもこの本の中で感動したことは

こどもの潜在的な可能性は「私はこれが好き」と言うこだわりを持てるかどうかで花開くものだ。そういう状態で行動できることを私は「無垢」と考えたい。無垢のままでいる時間をできるだけ長引かせ、自主性や自尊感情、好奇心を十分に育める環境に置くこと。

 

もうこれ、まさにシュタイナーですよねぇ。

無垢である時間。大切にしたいものです。やっぱり子ども時代を守りたい。

 

それから少年鑑別所で心理判定員をしていた心理学者のお話も面白かったです。

問題行動を起こすこどもに共通しているのは、小学生くらいの年頃に満天の星を見て感動した経験がないことだ〜「人間は、ちっぽけだけどすごい存在だ」と感じ取る。〜古来から外的宇宙(マクロコスモス)は人間の内的宇宙(ミクロコスモス)と同型だと言われてきたのもなるほどと思う。

 

満天の星空は残念ながら今の我が家から見るのは難しいけれども…。

自然の、宇宙の大きさを感じ取ること、人間の小ささ、でも自然とつながってる大きさを実感することの大切さを自分の子供にも伝えていきたいと思いました。

 

また、明治時代に日本の教育がガラッと変わった話も面白かったです。

教育とはそもそも、「この人に習いたい」と先生を選んで教えを乞うことがはじまりであるはずが、画一的な一斉教育をするようになった。江戸時代まであった師と弟子に見られたような教育とは原理を異にしている…。

そうして偏差値主義の教育が始まり、一つの科目に秀でるよりも満遍なくできることがもとめられるようになった…。

 

勉強が楽しいものと思えなくなる背景には「苦手科目克服」なのではないか、という考えも面白いと思いました。

また大学で行う1,2年は一般教養、3,4年は専門科目という順番を逆にしたらどうか。自分が好きで選んだ分野が広い視野で見るとどういうものなのか、歴史的にはどういう意味があるのか、人間学的にどうつながっているのか。専門を学び、理解した上でそれを哲学的に俯瞰して見ようとなった時に初めて「教養」が必要になるー。

 

この考えは目からウロコでした。

「好き」が最初、そうだよねぇ、それが自然じゃないか。勉強は楽しいものなのに、そう思えなかった学生時代はそんなことも理由の一つかもしれない。

私が勉強楽しい、もっと知りたいと思った学生生活は、助産学科での1年間だけでした。

卒業して学生でなくなってからは勉強が楽しいのだけど。学生としてそう思えたのは、あの1年だけでした。

 

そしてこの本、シュタイナー教育についても少しだけ触れています。

「日本のオルタナティブスクール」にまずはじめに挙げられていました。

ただ日本ではこうした多様な学びの場は法的に「普通教育」に当てはまらず、教育委員会が認めないと小学校や中学校卒業の資格も得られない…。

そうした格差を是正するために「多様な学び保証法を実現する会」を立ち上げられたそうです。

幼稚園も無償化のあおりをうけてシュタイナー園が経営困難になってしまっている話をよく聞きます。このブログでも何度か書きましたが…。

どんな形態であれ、無償化の対象になるよう働きかけている方たちもたくさんいることを知りました。「多様な学びを保障したい!」まさにまさに、と熱くなりました。

 

そして幼児教育について。

熱心な幼児教育者は、子どもたちを遊ばせたり活動させたりしながらその子の姿を深く観察している。遊んでいる姿や友達との微妙な関わり方、こだわっている物事の世界。そうしたものから子供の心持ちや課題を懸命に推測し、育ちは十分なのか、もう少しこんなところが伸ばせるのではないかと評価し、次に備えていくーそれはまさに、その子の生きざまの評価と言ってもよいものだー。

 

もう涙が出ます。

「学校で勉強することが優れていて、遊ぶことはその下のこと」では決してないのですよね。

 

やっぱりすばらしい方だなぁとただただ感動する一冊でした。

内容は濃いですが本自体は薄めで、すぐに読めます。

まだ読んでいらっしゃらない方がいたら、とってもとってもオススメです。

読んでよかった。記録のためにもブログ更新しました。